ドラッカー風エクササイズ
はじめに
新しいチームに加入して数ヶ月経ちました。
なんとなくメンバーにも慣れて、開発の進め方も分かってきました。
ここいらでもうひと押しチームビルディングを推し進めるために「ドラッカー風エクササイズ」を実践してみましたのでまとめておきます。
ドラッカー風エクササイズとは
ドラッカー風エクササイズとは書籍「アジャイルサムライ」で紹介されているチームビルディングの手法です。
チームメンバーがお互いに自分の考え方などを開示し、お互いの期待値をすり合わせます。
「普段こういう事しているけど、実はこんなことに興味のある人だったんだ」という気付きを得ることでチームがより円滑に作業を進める効果が期待できます。
考え方を共有する似たプラクティスとして Moving Motivators がありますね。
やり方
- メンバー全員が次の4つの質問に回答します。
- なかなか一つに絞るのは難しいと思うので Top 3 くらい挙げると良いでしょう。
- 他の人の回答に影響されないよう個別に回答してもらうと良いでしょう。
- 回答を全員で共有します。
- 質問ごとに全員の回答を眺めていきます。
- お互いの気付きを語り合いましょう。
所要時間
7名チームに対し、以下のタイムテーブルで実施しました。
1時間で十分な成果が得られます。
- 趣旨説明 : 5分
- 質問への回答:15分
- 回答共有:40分
4つの質問
1. 自分は何が得意なのか?(What am I good at ?)
自分の得意をメンバーに知ってもらい、自分を有効活用してもらいましょう。
また、自分の得意を認識する機会にもなります。
- 回答例
- 聞き上手
- 人当たりがいい
- すぐ終わらす
- 責任感が強い
- 細部にこだわる
- 混乱した状況を打破する
- 改善行動
- アイデアを出す
- 何でもチャレンジする
- 寛容
- etc.
2. 自分はどういう風に仕事するか?(How do I perform ?)
自分がどういう働き方をすると最も成果が出やすいかをメンバーに知ってもらいましょう。
明確なゴールがある方が動きやすいのか / ゴール策定から携わりたいのか。チーム作業がいいのか / 個人作業がいいのか。傾向によってチーム内のアプローチを変えましょう。
- 回答例
- 朝型です
- タスクリストを作ります
- 無駄がきらい
- ミニマリストです
- 細かく管理されるのは嫌いです
- 社内政治は嫌いです
- チームで仕事したい
- ゴールが見えていると動きやすい
- 感謝があると嬉しい
- 自由に動きたい
- 褒められると嬉しい
- 同じ作業の繰り返しがきらい
- etc.
3. 自分が大切に思う価値は何か?(What do I value ?)
自分が何を重視するかをメンバーに知ってもらいましょう。それによってメンバーはあなたから何が得られるのか、あなたがどういう行動をする傾向にあるのかを推測できるようになります。
お互いに違う価値観を持っていることを認識することは、不要なトラブルを回避し、チームビルディングをより円滑に進めることにも繋がります。
- 回答例
- 誠実であること
- 質の良い仕事をすること
- 楽しむこと
- 他者への尊敬
- 継続的な改善
- お互いに信頼できること
- 全員が楽しくできること
- 一貫性があること
- 面白いかどうか
- チャレンジングかどうか
- 自分のためになるか
- コードの綺麗さ
- コードの実行速度
- ドキュメントを重視
- コミュニケーションを重視する
- 家族と過ごす時間
- 自分の技量を上げること
4. わたしにはどんな貢献を期待されていると思うか?
(What contribution can be expected from me on this project ?)
自分に何を求められていると思うか。すなわち、お互いへの期待のすり合わせをしましょう。 期待が可視化されていないと「XXをしてほしいのに、YYにばかり注力している」などの混乱が生じます。できるだけ早い段階でお互いの認識を確認し合いましょう。
- 回答例
ペパボ エディション
以上が ドラッカー風エクササイズの基本的なやり方ですが、
ペパボさんではこれをカスタマイズして使用されているそうです。
非常に良い手法で、わたしもチームに実践する際に取り入れさせていただきました。
ぜひ紹介させてください。
一方で(ドラッカー風エクササイズの)すべての質問は自分のことを書くことになっています。そのため、お互いの期待をすり合わせるためには、質問の答えをベースに話し合うことが必要です。
ペパボエディションでは、この「期待をすり合わせる」ことを第一の目的として、質問をチューニングしています。
ペパボさんではドラッカー風エクササイズを以下の3つの質問でされています。
- 自分は何が得意なのか?
- チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
- 他のチームメンバーに期待することは何か?
- 自分以外のチームメンバー全員分を書いてもらいます。
自分を開示するオリジナルの質問2,3を省略して、代わりに質問4の「自分への貢献の期待」の逆視点である「他のメンバーへの貢献の期待」が追加されおり、「貢献の仕方の認識合わせ」により一層フォーカスしています。
人数の多いチームやお試し実践、まとまった時間を確保できない場合などに短時間で大きな効果を発揮してくれると思われます。
おわりに
チームに実践してみた反応はすこぶる好評でした。
予定通り「知らなかった一面が知れた」という声が最も多かったですが、
その対象は歳上の方やまとめ役を担っている方、若手メンバーが多かったことも印象的でした。
フラットな関係を築いていたつもりでしたが、まだまだお互い遠慮していた部分があったようです。
以降チーム作業は新しく知ったお互いの一面を加味して進むように急速にシフトしています。
1時間たらずのプラクティスでここまで効果がでる点は予定外でした。
ぜひ「ドラッカー風エクササイズ」取り入れてみてください!
参考
チームメンバーの期待をあわせる「ドラッカー風エクササイズ」 | DevTab - 成長しつづけるデベロッパーのための情報タブロイド